ちらかし読みむし

心理療法、社会学、福祉などの領域の読書録、本の紹介など、その他書きたいことを書いています。

2020-01-01から1年間の記事一覧

ソーシャルワーカー各々が固有の理論を持つこと

ソーシャルワーカーの各々が、実践の理論というものを作っていかなくてはならないのではないか、ということを考えています。 ソーシャルワーカーは所属する機関の性質によって実務の在り方というものが、大きく変わってくるものです。所属する機関とそこから…

主体の対象化×コロナ

『ナラティヴ・セラピストになる』を読んでいる。前回途中で挫折したものの再チャレンジ。「ナラティヴ」は「ナラティヴ」という一見親しみやすげなおもて向きと裏腹に背景理論は結構複雑で難しい。 この本で登場するミシェル・フーコーの「主体の対象化」の…

菅首相誕生に際して

菅さんが、首相になるのだとか。 政治の世界は複雑で、全体を見通することなど困難なのは承知ですが、だからといって知らぬふりをしているのは、もったいない。 そのように感じるようになったのは、①ひとつには、わたしが福祉の業界で務めており、今の政治の…

なぜ人が辞めていくか。福祉領域の職場の退職・離職

わたしは「ソーシャルワーカー」と言って、援助職の端くれだが、この業界(福祉界隈)は、辞めていく人がとても多い。実証的な統計的データはきちんと調べてはいないが、現場に身をおいてから、いつの間にかそう思うに至っており、それを自明視している自分…

実習生に教わったこと

しばらくのあいだ、職場にPSWの実習生が来ていた。 毎年感じることだが、職場に外部の人が入って実践を見て行かれるということは、とても新鮮な風が吹き込む感じで、身が引きしまる。 今年の実習生は、業務や実践の意図などいろいろと熱心に質問され、静かに…

援助論アンソロジー③ 相互性。援助者の変化、成長

自分も変化するというリスクを冒す 私たちはみな変化を恐れています セラピストもどこかで成長していなかったら クライエントに与えるばかりでなく、クライエントから受ける用意がなければ サービスは互恵的なものなので そういう客観的な態度ではなく、共に…

援助論アンソロジー② いる、居続ける、居合わせる、共にいる、ほんとうに存在している

だれかがそこにいないと 期待を失わずに傍らにい続ける あるがままの人間として、まさその瞬間にその場に居合わせること 別の人間と共にいる人間であること 飢えて凍えている他人が自身と同じようにほんとうに存在していると知ること だれかがそこにいないと…

援助論アンソロジー① クライエントが自ら選んだ…

クライエントはこうあるべきとかこうなるべきと考えるものに向けてクライエントを変化させようとするのではなく クライエント自身が選んだ道をクライエントが歩んでいくのを促す クライアントを凌駕する必要は その人にできるだけの自由を許し、常に期待を失…

クレしんの野原家。大企業型の家族

野原ひろし、「ハイスペック」 野原ひろしが「ハイスペック」というツイートがタイムラインに流れてきた。 ・35歳、年収600万円・専業主婦と5歳、0歳の二児を扶養・東京日本橋の商社勤務・都心まで通勤圏内に庭付き一戸建て保有・自家用車保有・浮気の心配ゼ…

人を手段化しない経済。影山知明さん『ゆっくり、いそげ』読後メモと紹介

影山知明さん『ゆっくり、いそげ』(大和書房)を読んだ。副題である"カフェからはじめる人を手段化しない経済"というタイトルに惹かれて。 著者は、「クルミドコーヒー」(西国分寺)店主の影山知明さん。作中で描かれているように、丁寧にいれられたコーヒ…

坂爪真吾さん『性風俗シングルマザー 地方都市における女性と子どもの貧困』読書メモ

坂爪真吾さん『性風俗シングルマザー 地方都市における女性と子どもの貧困』備忘録。

野坂祐子『トラウマインフォームドケア "問題行動"を捉えなおす援助の視点』読後メモ

野坂祐子さん『トラウマインフォームドケア "問題行動"を捉えなおす援助の視点』を読了した。 野坂祐子さんの『トラウマインフォームドケア』を読んでいる。野坂さんの歯切れの良い明快な素晴らしい文章と、リアリティーに富んだ事例の描写。これは支援者も…

わたしにとってのフォーカシングの「効果」。フォーカシングをはじめてから微大に変わったこと。②

「フォーカシングをしてみるとどうなるか」「フォーカシングに効果はあるのか」。実証的なデータや分析は研究者に譲ることにして、わたしは、わたしの拙い体験から、フォーカシングに触れてから変わったこと、役に立っていることについて、語ってみたいと思…

わたしにとってのフォーカシングの「効果」。フォーカシングをはじめてから微大に変わったこと。①

「フォーカシングをしてみるとどうなるか」「フォーカシングに効果はあるのか」。実証的なデータや分析は研究者に譲ることにして、わたしは、わたしの拙い体験から、フォーカシングに触れてから変わったこと、役に立っていることについて、語ってみたいと思…