ちらかし読みむし

心理療法、社会学、福祉などの領域の読書録、本の紹介など、その他書きたいことを書いています。

随想

2021.8.27のノートより

コンビニへ行く。道々の花や木、家屋が懐かしく、美しい。この街に引っ越してきてよかったと、思う。毎日の通勤時、目にする古いアパート前に伸びる草むらの緑にすら感動を覚える。 見世物ではない生活圏の持つ美しさ。家々はどこか古ぼけて、それでいて美し…

2021.11.8 山小屋瞑想計画

昨日の、やりたいこと25個書き出す作業に引き続き、「山小屋瞑想計画」を立て、近い週末、某山麓の安宿に二泊することとしました。目的は、日常の生活空間から離れ、瞑想と逍遥に勤しむこと。 k-kotekote.hatenablog.com 金曜日、奉公先のお勤めが終わった…

令和3年11月3日 東大寺の宝物

今日は、友人に誘われて、美術館へ。展示は、「正倉院宝物」。要は、奈良の東大寺(大仏で有名な)の倉に納められた様々な品々であるらしい。たとえば、鏡、琵琶、織物などなど。「宝物」と言われるだけあって、素人目にも、ひとつひとつが、非常に凝った作…

令和3年11月1日 生活の中の詩情

今日も、ばたばたと過ぎていきました。午前、とあるクライエントさんから聞かせていただいた生活歴を記録にまとめていると、受診希望の方がお見えになる。来談の経緯を聞かせていただき、医師や外来のナースに伝え、予約の段取りを整え、記録にまとめ…とやっ…

10月のリフレクション

あれよあれよと、通り過ぎて行ったひと月でした。気づけば葉も赤く、風も冷たい。季節の移ろいを味わうこともできず、悔いている。9月の末ころにノートに書きつけた、10月に取り組みたい・心がけたいことも、着手することできず、という状態。とにかく、①職…

菅首相誕生に際して

菅さんが、首相になるのだとか。 政治の世界は複雑で、全体を見通することなど困難なのは承知ですが、だからといって知らぬふりをしているのは、もったいない。 そのように感じるようになったのは、①ひとつには、わたしが福祉の業界で務めており、今の政治の…

無知と対話

なぜなら「無知の知」とは、換言すれば、——自分が何事かを知っていると思いこむ以前の状態に、つねに自分を置くことへのたえざる習熟ということである 藤沢令夫『プラトンの哲学』岩波新書(1998)、p.43 自己もまたあなたである 無知への習熟。わたしをあな…

幸いに死ぬるということの確かな信念。7つの習慣とトマス・ア・ケンピス

およそ600年も前の西洋の宗教家、トマス・ア・ケンピスと、現代のかなり名の知れたビジネス書『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー氏が、よく似たことを述べているのを発見した。 死の間際にそんな風でありたいと願うような具合に、生きていこう…

あなたが今日死のうとするかのように

ああ、ただ現在のことだけを想い見て、未来のことはあらかじめ用意しない人の心の、なんと愚かに、頑迷なことか。あなたが今日死のうとするかのように、すべての行いや想いにおいて、身を処すべきである。(…)あすは不確かな日である。あなたが明日の日を持…

シャレのようなメタファーのような「ごっこ」のような錯綜した日用世界

最も現実的とみなされる日用の代物でさえ、メタファーやある種のシャレや「ごっこ」によって成立しているのではないか、ということを考えてみます。だれもが知っている日常的な語句と戯れていくうちに、そういう結論に至りました。登場人物は、「盗る」「捕…

白衣は仕事をしてくれません。

「白衣を着た」ことで、仕事ができると勘違いして一人よがりになっている人が一番困るのです。白衣は仕事をしてくれません。仕事をするのは白衣を着ている人なのです。 菊地かほる『これがMSWの現場です』2014年補訂版、p.26 「白衣」は、社会的役割がその人…

あなた自身が選んだ道を歩くことを促すこと

セラピストの課題は、クライエントの目標に至るためのよい道筋だとセラピストが考える道筋を歩むようクライエントを指示することではなく、クライエント自身が選んだ道をクライエントが歩んでいくのを促すことである。キャンベル・パートン『パーソン・セン…

活きた模範をよく心にとめるがいい

聖なる父たちの活きた模範をよく心にとめるがいい トマス・ア・ケンピス『キリストにならいて』岩波文庫、p.38 だれもが持っていないだろうか。このような人を。 恩師。 恩人。 あるいは、人間の理想とでも呼ぶべき人。 トマスは言う。聖なる父たちの活きた…

おじさんと学生

というあの夜のエピソードが、学生集団とすれ違いざまに、瞬時に脳裏に浮かびあがった。わたしたちはあの男の叫びを黙殺した。