ちらかし読みむし

心理療法、社会学、福祉などの領域の読書録、本の紹介など、その他書きたいことを書いています。

【内容紹介】パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集

『パパラギ』の内容紹介。わたしたちの当たり前に生きている日常を、別の角度から見直してみたい人。現代と言う社会を相対化してみたい人。そういう方は読んでみるといいかもしれません。

【本の紹介】『治療的面接の工夫と手順 人間学的力動論の立場から』増井武士、池見陽

治療的面接の工夫と手順: 人間学的力動論の観点から 心理療法家の、増井武士先生と池見陽先生の対談本。 対談と言っても、増井先生の聞き役を、池見先生がしているという感じで、どちらかというと、増井先生が主で話しておられる。わたしは、池見先生の本は…

【本の紹介】『コロナ後の世界を生きる――私たちの提言』村上陽一郎編

『コロナ後の世界を生きる――私たちの提言』の紹介。特に、コロナというあらたなウィルスに関連して、人間と自然・動物との関係性について再考を促すものとして、「センザンコウ」を取り上げた、石井美保さんの論考について、詳しく紹介しています。

「バザーリア講演録」一章 精神医療は自由の道具か、抑圧の道具か

フランコ・バザーリアの講演録『自由こそ治療だ!』を読んでいます。前から気になっていた本だったのですが、ようやく手にとることができました。はじまってばかり、一章からかなり激烈で、読んでいて不穏な気持ちになります。一章のタイトル自体が、「精神…

2021.8.27のノートより

コンビニへ行く。道々の花や木、家屋が懐かしく、美しい。この街に引っ越してきてよかったと、思う。毎日の通勤時、目にする古いアパート前に伸びる草むらの緑にすら感動を覚える。 見世物ではない生活圏の持つ美しさ。家々はどこか古ぼけて、それでいて美し…

2021.11.8 山小屋瞑想計画

昨日の、やりたいこと25個書き出す作業に引き続き、「山小屋瞑想計画」を立て、近い週末、某山麓の安宿に二泊することとしました。目的は、日常の生活空間から離れ、瞑想と逍遥に勤しむこと。 k-kotekote.hatenablog.com 金曜日、奉公先のお勤めが終わった…

2021.11.7 やりたいこと25個書き出す

今日は休日。近所にあるケーキ屋にある喫茶スペースにて、やりたいことを「25個」とにかく書き出す、そしてその中で大事なものを5つ丸をつける、という作業をしました(ライダー・キャロル著『バレットジャーナル』の中のワーク)。 1有休をとる2バザー…

令和3年11月6日 寝休日

今日は一日寝て過ごす。 一度朝8時ころ目が覚めたあと、朝ご飯をとるのもおっくうで布団の中で本を読んでいて、11時ころ過ぎで眠ってしまいました。気づけは14時前。空腹で、ヨーグルトとバナナとシリアルを食べ、もう一度読書をしているとまた眠ってしまい…

令和3年11月3日 東大寺の宝物

今日は、友人に誘われて、美術館へ。展示は、「正倉院宝物」。要は、奈良の東大寺(大仏で有名な)の倉に納められた様々な品々であるらしい。たとえば、鏡、琵琶、織物などなど。「宝物」と言われるだけあって、素人目にも、ひとつひとつが、非常に凝った作…

令和3年11月2日 手痛い学習体験

同一の事象に接していても、起こることへの反応の違いから、他者と自己の違いに気づく、という体験をしています。といっても、タイプの違う相手から、見落とし・盲点を次々と指摘されるということが起こり、目下凹んでおり、痛みを伴う学習体験であるわけで…

令和3年11月1日 生活の中の詩情

今日も、ばたばたと過ぎていきました。午前、とあるクライエントさんから聞かせていただいた生活歴を記録にまとめていると、受診希望の方がお見えになる。来談の経緯を聞かせていただき、医師や外来のナースに伝え、予約の段取りを整え、記録にまとめ…とやっ…

10月のリフレクション

あれよあれよと、通り過ぎて行ったひと月でした。気づけば葉も赤く、風も冷たい。季節の移ろいを味わうこともできず、悔いている。9月の末ころにノートに書きつけた、10月に取り組みたい・心がけたいことも、着手することできず、という状態。とにかく、①職…

不可視に偏在する権力の社会的必要性と抑圧性『フーコー 主体という夢:生の権力』読書メモ

貫成人『フーコー 主体という夢:生の権力』読了。 読書メモ。 「権力」とは何か。王様や殿様、会社の社長など特定の人物だけが振るうものではない。「権力」は不可視に人々の間に偏在する。人々が、マスクをしているか互いに監視し合うところに権力はある。…

竹端寛さん、沼田和也さんのドキッとする言葉。精神障害と社会

竹端寛氏の文章に「エリー湖」の比喩というものが登場する(『脱・いい子のソーシャルワーク』の6章「精神障害と抑圧・反抑圧」)。 元ネタは、ベイトソンの『精神の生態学』にあるというが、アメリカ五大湖の一つエリー湖は、家庭や工場から排出される汚水…

臨床を続ける一握りの勇気。『誰がために医師はいる――クスリとヒトの現代論』松本俊彦先生の新著を読んで

『誰がために医師はいる――クスリとヒトの現代論』松本俊彦先生の新著の感想と覚え書き。

ソーシャルワーカー各々が固有の理論を持つこと

ソーシャルワーカーの各々が、実践の理論というものを作っていかなくてはならないのではないか、ということを考えています。 ソーシャルワーカーは所属する機関の性質によって実務の在り方というものが、大きく変わってくるものです。所属する機関とそこから…

主体の対象化×コロナ

『ナラティヴ・セラピストになる』を読んでいる。前回途中で挫折したものの再チャレンジ。「ナラティヴ」は「ナラティヴ」という一見親しみやすげなおもて向きと裏腹に背景理論は結構複雑で難しい。 この本で登場するミシェル・フーコーの「主体の対象化」の…

菅首相誕生に際して

菅さんが、首相になるのだとか。 政治の世界は複雑で、全体を見通することなど困難なのは承知ですが、だからといって知らぬふりをしているのは、もったいない。 そのように感じるようになったのは、①ひとつには、わたしが福祉の業界で務めており、今の政治の…

なぜ人が辞めていくか。福祉領域の職場の退職・離職

わたしは「ソーシャルワーカー」と言って、援助職の端くれだが、この業界(福祉界隈)は、辞めていく人がとても多い。実証的な統計的データはきちんと調べてはいないが、現場に身をおいてから、いつの間にかそう思うに至っており、それを自明視している自分…

実習生に教わったこと

しばらくのあいだ、職場にPSWの実習生が来ていた。 毎年感じることだが、職場に外部の人が入って実践を見て行かれるということは、とても新鮮な風が吹き込む感じで、身が引きしまる。 今年の実習生は、業務や実践の意図などいろいろと熱心に質問され、静かに…

援助論アンソロジー③ 相互性。援助者の変化、成長

自分も変化するというリスクを冒す 私たちはみな変化を恐れています セラピストもどこかで成長していなかったら クライエントに与えるばかりでなく、クライエントから受ける用意がなければ サービスは互恵的なものなので そういう客観的な態度ではなく、共に…

援助論アンソロジー② いる、居続ける、居合わせる、共にいる、ほんとうに存在している

だれかがそこにいないと 期待を失わずに傍らにい続ける あるがままの人間として、まさその瞬間にその場に居合わせること 別の人間と共にいる人間であること 飢えて凍えている他人が自身と同じようにほんとうに存在していると知ること だれかがそこにいないと…

援助論アンソロジー① クライエントが自ら選んだ…

クライエントはこうあるべきとかこうなるべきと考えるものに向けてクライエントを変化させようとするのではなく クライエント自身が選んだ道をクライエントが歩んでいくのを促す クライアントを凌駕する必要は その人にできるだけの自由を許し、常に期待を失…

クレしんの野原家。大企業型の家族

野原ひろし、「ハイスペック」 野原ひろしが「ハイスペック」というツイートがタイムラインに流れてきた。 ・35歳、年収600万円・専業主婦と5歳、0歳の二児を扶養・東京日本橋の商社勤務・都心まで通勤圏内に庭付き一戸建て保有・自家用車保有・浮気の心配ゼ…

人を手段化しない経済。影山知明さん『ゆっくり、いそげ』読後メモと紹介

影山知明さん『ゆっくり、いそげ』(大和書房)を読んだ。副題である"カフェからはじめる人を手段化しない経済"というタイトルに惹かれて。 著者は、「クルミドコーヒー」(西国分寺)店主の影山知明さん。作中で描かれているように、丁寧にいれられたコーヒ…

坂爪真吾さん『性風俗シングルマザー 地方都市における女性と子どもの貧困』読書メモ

坂爪真吾さん『性風俗シングルマザー 地方都市における女性と子どもの貧困』備忘録。

野坂祐子『トラウマインフォームドケア "問題行動"を捉えなおす援助の視点』読後メモ

野坂祐子さん『トラウマインフォームドケア "問題行動"を捉えなおす援助の視点』を読了した。 野坂祐子さんの『トラウマインフォームドケア』を読んでいる。野坂さんの歯切れの良い明快な素晴らしい文章と、リアリティーに富んだ事例の描写。これは支援者も…

わたしにとってのフォーカシングの「効果」。フォーカシングをはじめてから微大に変わったこと。②

「フォーカシングをしてみるとどうなるか」「フォーカシングに効果はあるのか」。実証的なデータや分析は研究者に譲ることにして、わたしは、わたしの拙い体験から、フォーカシングに触れてから変わったこと、役に立っていることについて、語ってみたいと思…

わたしにとってのフォーカシングの「効果」。フォーカシングをはじめてから微大に変わったこと。①

「フォーカシングをしてみるとどうなるか」「フォーカシングに効果はあるのか」。実証的なデータや分析は研究者に譲ることにして、わたしは、わたしの拙い体験から、フォーカシングに触れてから変わったこと、役に立っていることについて、語ってみたいと思…

無知と対話

なぜなら「無知の知」とは、換言すれば、——自分が何事かを知っていると思いこむ以前の状態に、つねに自分を置くことへのたえざる習熟ということである 藤沢令夫『プラトンの哲学』岩波新書(1998)、p.43 自己もまたあなたである 無知への習熟。わたしをあな…