ちらかし読みむし

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ジェンドリン『プロセス・モデル』(Gendlin "A Process Model")イントロダクションを丁寧に読む④ ボディと環境はひとつ

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k-kotekote.hatenablog.com

引き続き、 ジェンドリン(Gendlin)のプロセスモデル(A Process Model)のイントロダクションだけは丁寧に読む。

第Ⅰ章は、次のように始まる。「ボディと環境はひとつである」と——この言明は、この本を通して漸進的に展開されていく。Ⅰ章が示すのは、或る体-環・相互作用body-en interactingsは、同一の出来事eventであること、すなわちボディと環境はひとつのプロセスであり、互いに暗に指し示し合っているということ。例えば、空気が-入って-来(環境)、肺が-拡張する(ボディ)ことは、起こることとしては同じことであり、ひとつの”-ing”であり、ひとつの活動activityである。
 第Ⅰ章は、ボディと環境を相互作用的に互いに暗に示し合うひとつとして展開していく。”ボディは環境である、そしてその環境においてボディ-プロセスはさらに進んでいく”(6)。ボディはさらに進んでいく、ちょうど進んできたような仕方で。
 暗なる示しは、「とにかくなんでもいい」わけではない。そうではなく、いつも「精確にこれ」(ボディの感じ)なのである。しかし暗なる示しは、まだ特定(specify)はされていない。pp.XⅰX-XX

 

ボディと環境はひとつ

これは非常に面白い。ここでは、肺と空気の出入りが話題になっているけれど、「部屋の掃除」もそうだろうか。

部屋が-きれいになっていくことと(環境)、部屋の-掃除をすることと(ボディ)は、なるほど、同一事象であり、同一の進行過程("ing")であるだろう。

ボディの或る感じは、部屋のある部分のさらなる片づけを指し示し(imply)、部屋のある部分は、ボディにある仕方で片付けることを指し示す(imply)。トイレの汚れは、我々のボディに、そこを磨くことを指し示し、我々のボディの或る感じは、そこを磨くことを指し示す。そういうことなのだとしたら、「すなわちボディと環境はひとつのプロセスであり、互いに暗に指し示し合っているということ」という意味は理解できる。

そして、部屋の掃除の進展に伴い、ボディには「あそこがまだ気になる」とか「あぁ、これですっきりした!」という感じがもたらされたりするだろう。そして「これでよし!」という感じに至った時、部屋の掃除はやむであろう。「環境においてボディ-プロセスはさらに進んでいく」。

しかし、今一つつかめないのは、「ボディは環境である」と、ボディと環境を直にコプラ(繋辞)で結んでしまうこと。そこがしっくりこない。そこがよくわからない。

ボディと環境とが、「ひとつの”-ing”であり、ひとつの活動activityである」ということならわかるが。

 

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