ちらかし読みむし

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ジェンドリン『プロセス・モデル』(Gendlin "A Process Model")イントロダクションを丁寧に読む② 極めて大きな拡張

 ↓前回記事。ジェンドリン『プロセス・モデル』(Gendlin "A Process Model")イントロダクションを丁寧に読む①

k-kotekote.hatenablog.com

ジェンドリンのプロセスモデルのイントロダクションを丁寧に読んでいる。今日も続きを読もう。しかしその前に、前回のまとめを。

我々人間は、知覚をする。しかしながら、我々はタンポポのようでもある。

タンポポは、秋風の冷たさを知らない。太陽の暖かさや明るさを知らない。しかしそれでもタンポポはボディとして太陽や風と関わり合い、葉を茂らせ花を咲かせ、やがて綿毛を風にゆだねるだろう。タンポポは知覚しない。タンポポは何かに気づき、それをそれとして知りはしない。しかし、タンポポはボディとしてまわりのあらゆるものと相互作用する。

それと同様に、人間は知覚をしもするが、それ以前に、タンポポのようにボディ(体)として相互作用する生の過程である。

 さて、以下は昨日の続きのひと段落。

 

しかしながら、知覚を知覚に先立つものから体系的に引き出す前の段階で、知覚を持ち出すことなくして、「どのようにして我々人という存在が環境と相互作用するのか(他者との相互作用を含む)」について議論するならば、極めて大きな拡張がもたらされることになる。この拡張が必要となるのは、「ボディの非知覚的な相互作用」には説明すべき多くのものがあるためである。この拡張は、本書のⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ章でなそうとすることであり、それは知覚的な取り入れ(色、音、におい)へと移行していく前になされる。だからⅥ章にたどり着くとき、「まだ実際は知覚していない」ボディと環境との相互作用(「体-環」”body-en”)の、この暗なる複雑さのぜんぶを、持ち来たって利用するようになる。そしてこの後の章で、我々は知覚することを手に入れるのだ。(p.XⅰX)

 

拡張。

ボディが、知覚することなくして、自らを取り巻く周りの世界と関わり合うのは、いかにしてであるのか。

それを説明するには説明すべき多くのものがあるから、「拡張」が必要だという。「拡張」というのは何だろう。それを説明する際には、「理論的な」拡張が必要、ということだろうか。これまでの理解の枠組みを超え出る「拡張」が必要ということかな。

 それで、「プロセスモデル」では、「知覚」が登場するまではしばらく時間がかかるようだ。ちなみに各章のタイトルは以下の通り。

1章 ボディー環境(B-En)

2章 機能的環(Fucy)

3章 対象

4章 ボディと時間

5章 進化、新しさ、安定性

6章 行動

7章 文化、シンボル、そして言語

8章 暗なるものとともに考える

 

 

 つづきはこちら。↓ 「暗なる示しへと生起すること」などが話題になります。

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